無題

「無題」と書いてあるだけで、詩の感じ方が変わった。
大学の心理学の授業で、題名のある詩と題名のない詩を読み比べた。たった二文字の違いで受け取る印象が変わる、その小さな違いがとても印象に残っている。

考えてみれば、将棋についても「見え方が変わった」と感じることがある。

このエッセイを書くのは約4年ぶりになる。デビューしてからあっという間に4年が過ぎ、5年目に突入した。以前に比べて、焦りがある局面でもじっくり時間を使って考えられるようになった。勝っているときは慎重に、負けているときは相手のミスを誘う手を考える。相手だけでなく、自分の心とも戦っているような気がしている。

対局中、自分では感情を表に出していないつもりであるが、振り返ると、首をかしげていたりため息をついていたりする。自分が思っている以上に感情は表に出ているのかもしれない。

大学の授業で、プロ棋士とアマチュアでは対局時の脳の働きが異なることや、チェスプレイヤーの感情の表出・抑制と成績との関係が男女で異なることを学んだ。知れば知るほど「将棋ではどうなのだろう」と思うようになった。

将棋は心理戦といわれることがあるけれど、感情や緊張、焦りは、棋力や勝敗にどのくらい、どのように影響しているのだろうか。

女流棋士になったばかりの頃よりも、正解手を生み出す「心」にも興味を持っている。
強くなることはもちろん、感情や心理についても理解を深めていきたい。

岩佐美帆子

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