メンタル
将棋に限らず勝負事においては勝算を高めるために、メンタル面の細胞の分泌をいかに最適化するかが重要な要素となる。
「勝ちたい」と思うのは誰しもが初期に抱くマインドだが、勝負を続けていくうちに「勝ちたい」と強く思うことによって必ずしも勝算が高まるわけではないということが分かってくる。
多く用いられているのが「楽しむ」方向性によりベストパフォーマンスを発揮する手法だろう。
これを個人的に「楽しみブースト」と呼んでいる(以下ブーストをBと略す)。
Bのかけ方として人気がありそうなのはやはりポジティブな要素を含んだもので、楽しみの他には内容(良い将棋を指したい)、感謝、成長、謙虚、などが挙げられる。
反対に怒り、因縁、などを利用することも可能だが、そういった戦い方をしていたとしても公表されるケースは少ないかと思われる。
パッと思い浮かぶのはC2順位戦桐谷六段VS先崎五段の1局だ。
他には勝ちへの欲を前に出す闘志B、観客を意識するエンタメB、好奇心B、美学Bなど、さまざまな手法が考えられる。
もちろん複合的に用いるケースも多い。
この棋士はどのBを利用しているかと想像してみるのも面白い。
楽しみBがやはり一つの理想形であり私も多用する手法だ。
ただこれは発動条件があり、事前準備や当日の状態に自信が持てないと使うことができない。
その条件があることによって準備へのモチベーションにつながる利点もある。
もし調整に失敗し、勝負当日を迎えたとき楽しみBを発動できないと感じたら、別の手法に切り替える必要はある。
いつも同じBで戦うのも芸がないし、相手にパターンを読まれるデメリットがある。
メンタルの作戦の幅を広げ、状況や相手のタイプによってより良いBを選択できるようにすることも重要だろう。
折田翔吾