私と師匠の出会いは思いがけないところから始まった。

弟子入りの大抵は、地元やお世話になっている棋士にお願いするのが普通だと思うが、他とは一風違う(と思っている)。

当時は奨励会試験に合格すれば、入会後1年以内に師匠を決めればいいという規定だった。
師匠なしで奨励会に合格し、師匠探しに迷っていると、成績不振で7級に降級していた。お願いするのも申し訳なくなり、ますます師匠探しが難しくなった。

そんな時父親がやっていた『mixi』というSNSに1通のメッセージが入った。
「私で良ければ息子さんの将棋見ましょうか」大野八一雄

まさかの縁だった。父親が『mixi』をしていなかったら師匠と交わることはなかったし、7級に落ちていなければ、声をかけられなかったかもしれない。

すぐに動くのが我が家のモットー。1週間後には師匠が開いている埼玉の教室に岐阜から伺い、まさかのマンツーマンで昼頃から22時まで教わった。
初めて会った子供にここまでの熱意を持って接してくださる姿に、大野先生の元で学びたいと強く思うようになった。

そんなこんなで、奨励会生活13年とあまりにも長かったが、大野門下初のプロ棋士になり、系図を絶やさなかったことは最高の恩返しができ、本当に良かったと思っている。

宮嶋健太

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