活動情報
3.252025
3.15西遊棋対抗イベントOB/OGチームvs現役チーム
今回は3月15日(土)に関西将棋会館で行われた「西遊棋対抗イベント OB・OGチームvs現役チーム」の模様をレポートでお届けします。西遊棋は2013年に、当時の関西若手棋士たちが立ち上げたユニットです。将棋は指して楽しむだけではありません。ルールがあいまいな方でも楽しめるよう、西遊棋イベントでは様々な工夫を施して新しい楽しみ方を追求し、本日まで取り組んできました。コロナ禍もあってイベントを控えてきましたが、2022年9月以来、2年半ぶりに大型イベントが実現しました。結成当初に西遊棋は「30歳で引退」という取り決めがされており、今回は西遊棋のOB・OGメンバーに現役西遊棋メンバーが挑みます。ペア将棋やトークショー、クイズ対決などで勝負して、負けたチームには罰ゲームが待っています。OB・OGチームの豊島将之九段、糸谷哲郎八段、斎藤慎太郎八段、西川和宏六段、室田伊緒女流三段に、出口若武六段、藤本渚六段、冨田誠也五段、井田明宏五段、上野裕寿五段、石本さくら女流二段、崎原知宙女流1級の現役チームで対抗します。OBチームが貫禄を示すのか、現役チームの勢いがまさるのか。開会式から舌戦が繰り広げられました。
□ペア将棋
最初に行われたのはペア将棋。糸谷八段と斎藤八段ペアに、出口六段と上野五段の兄弟弟子ペアで挑みました。糸谷八段と斎藤八段は、数日後に叡王戦挑戦者決定戦という大一番を戦うにもかかわらず、ペアを組みました。対局開始前のあいさつで、斎藤八段は「このふたりが挑戦者争いをすると、企画者は思っていなかったんでしょうね」とチクリ。会場の笑いを誘いました。
途中で2回「たたいてかぶってジャンケンポン」を行い、負けたチームは「10秒将棋」「目隠し将棋」というハンデを背負う特殊ルールです。
たたいて被ってジャンケンポンは、2戦ともOBチームの勝ち。
現役チームは10秒の秒読みに加えて目隠しをされるという試練が課されましたが、苦しい将棋を最後に逆転し、現役チームが勝ちました。現役チームは「途中はふたりとも駒を勘違いしていたのですが、チームワークの勝利です」と振り返ります。一方のOBチームは「序中盤は会心の将棋で、反射神経も悪くなかったのですが、現役チームは粘り強かったです」と若手を称えました。
□トークショー
豊島九段、室田女流三段、出口六段、冨田五段が登壇します。
西遊棋の誕生秘話から、プライベート、対局時の裏話など、50分があっという間のトークショーでした。盛り上がったのは、冨田五段が対局中の相手をよく観察しているという話題。
「対局者のときはあまりじろじろ見られませんから、記録係がいちばん勉強になるんですよ。棋士の特徴や仕草がはっきりしますし」(冨田五段)
「なんの勉強しているんですか」(室田女流三段)
「将棋の勉強にもなりますし、こういったトークショーでも話すネタになりますよ」(冨田五段)
「どう思います、豊島先生」(室田女流三段)
「いやあ、熱心ですねえ」(豊島九段)
「トークショーにすべてを懸けているなあ」(出口六段)
冨田五段の鋭い観察力に、お客様も笑いながら驚いていました。
□ミニゲーム三番勝負
昼食休憩を挟んで、午後からはミニゲーム三番勝負が始まりました。第1戦は斎藤八段と冨田五段による記憶力勝負。とある局面を10秒で覚え、大盤に再現します。一局を通して考えた中でなら、局面を記憶するのは棋士なら容易でしょう。しかし、何も考えていない局面をパッと見ただけでは、なかなか難しい様子。どちらも苦戦していて、特に冨田五段は「玉の位置すらわからん。もう降参でいいです」と、少し駒を配置してお手上げ状態。
結果、斎藤八段の勝利で終わりました。
第2戦は女流対決の「棋士アキネーター」。アキネーターは何でも知っているランプの魔人。いくつかの質問で、想像しているキャラクターを当ててくれます。そんな魔神役を室田女流三段と崎原女流1級が務めました。とある棋士の特徴を質問して特定します。「本日のゲスト棋士にはおらず、30歳未満の小林門下の棋士」といった特徴で、正解の徳田拳士四段を当てたのは崎原女流1級。第2戦は現役チームの勝ちとなりました。
第3戦は糸谷八段と藤本六段による「影武者将棋」です。王将以外の駒を王将に見立てて、その駒が取られると負けになります。一風変わった展開に、解説陣も盛り上がります。
「冨田くんは、昔こういう将棋指した? 」(斎藤慎八段)
「よく遊びでやりましたよ」(冨田五段)
「自分もやりました。玉も攻めに参加できるんですよね。中段まで出ていって『玉換わり腰掛け銀』とかいって、遊んでいましたね」(斎藤慎八段)
ミニゲームとはいえ、盤を挟んだ姿は真剣そのもの。糸谷八段も藤本六段も頭に手を当てて「いやあ」とうなります。
入玉(?)模様の大熱戦のすえ、引き分けになろうかというところで、最後は冨田五段がOBチームの玉であろう駒をピタリと当てて、現役チームの判定勝ちとなりました。三番勝負の結果は現役チーム2勝、OBチーム1勝で、現役チームの勝ちとなりました。
□クイズ対決
クイズ対決には、西川六段、室田女流三段、藤本六段、上野五段が参加。チームで同じ解答が出ればポイントが加算され、OBチームは抜群のコンビネーションで正解を重ねます。
特に盛り上がったのは井田五段作の詰将棋を糸谷八段が解き、その時間を当てる問題。詰将棋を見た西川六段は「これは難しい」と苦笑い。糸谷八段も「手数長いじゃん」と黙り込みました。しばらく考えたあと、糸谷八段は「▲3三竜まで29手詰め」と答えを出して見事に正解。お客様からは大きな拍手が送られました。さらに室田女流三段は解答時間も当て、息の合ったところを見せました。
クイズ対決などに並行して、指導対局も行われました。豊島九段や斎藤八段、上野五段らが参加し、難しい局面ではヒントを交えながらの対局でした。公式戦とは違って和やかに、笑いながら将棋を教えてくれるのも、指導対局の魅力のひとつです。
□記念対局
メインイベントである公開対局は、豊島九段と藤本六段の対決でした。ここまでOBチーム50ポイント、現役チーム100ポイントで現役チームがリードしています。この対局に勝ったチームには100ポイントが加算され、罰ゲーム回避が決まる大事な一局です。対局前の意気込みでは、豊島九段は「若手の非常に優秀な藤本さんとの対戦で、ありがたい機会を頂きました。いい将棋を指せるようにがんばりたいです」。藤本六段は「自チームの勝利がかかる一番ではありますが、純粋に豊島先生と将棋を指せる喜びをかみしめたいと思います」とそれぞれ述べました。
イベントとは思えない公式戦さながらの迫力は、見る人を釘づけにします。最後は豊島九段の派手な一着が決め手になり、先輩の貫禄を示しました。
□閉会式
大熱戦の余韻を残したまま、抽選会と閉会式に進みます。チームとして敗れた現役チームは、コスプレ衣装に身をまとって登壇し、お客様からは「かわいい」との声も。現役チームの面々は恥ずかしそうに笑っていました。
抽選会では、出場棋士全員の名前が入った色紙に注目が集まりました。閉会後は、棋士によるお見送りが行われ、イベントは大盛況のうちに幕を下ろしました。
(代表で感謝の言葉を述べる豊島九段)
(お客様をお見送りする棋士)
□まとめ
帰り際、お客様から「イベントを楽しみにしていました」との声が多く聞かれました。西遊棋が企画するイベントはお客様参加型のものが多く、将棋のルールを知らなくても楽しめる工夫が盛りだくさんです。棋士とお客様の距離が近いのも特徴で、休憩時間などには販売ブースに棋士が立ち、お客様に商品をお届けもします。このレポートを読んで興味を持たれた方はイベントのみならず、ぜひ関西将棋会館にも遊びにいらしてみてください。棋士と将棋の魅力を感じられますよ!
(文、撮影=武蔵)
最近の活動情報
-
2025/3/25
イベントレポート3.15西遊棋対抗イベントOB/OGチームvs現役チーム
-
2025/1/25
-
2024/11/20
イベント情報2025.1.5 第5回西遊棋こども将棋大会
-
2024/7/23
イベント情報『西遊棋の日常』刊行記念サイン会
-
2024/1/23
イベント情報2024年2月16日東海オンライントークショー
-
2023/10/15
イベント情報12.2 第4回西遊棋こども将棋大会